電話対応が苦手な3つのサイン…|実は深刻な理由があるかしれません
何言ってるのかわからない…
会社での電話対応が苦手…
おそらく、この記事を見ているあなたは経験があるのではないでしょうか?
「声のトーン」「言葉のニュアンス」「相手の反応」を直接感じることができない電話対応は、かなりのストレスになっているはずです。
特に下記のようなに感じたことのある方は、ただの「苦手」で済まさないでください。
- 周りの音が気になって電話に集中できない
- 情報を聞いてもうまく頭に入ってこない
- 会話の内容をメモに起こせない
このような「電話が苦手」という感覚、実はある障害が関係していることをご存じでしょうか?
それが、APDと呼ばれる「聴覚情報処理障害」です。
音は聞こえるけれど、その情報をうまく処理できないという特徴を持つこの障害は、日本人の1%以上いると言われています。
筆者も電話対応が非常に苦手だったことから、このAPDと出逢いました。今ではAPDの診断を受け、周囲の方の理解をいただきながら、フリーランスとして快適な環境で働いています。
この記事では、そんなAPDの当事者である私が、電話対応の苦手さからAPDのセルフチェック、快適な生活を送るにはどうしたら良いかまで幅広くご紹介するのでお楽しみに。
この記事を読むことで「電話対応の苦手さに対する新たな視点」を持つことができます。
APDの可能性が少しでもあるかも…と思った方は、対処法やコミュニケーションのコツを学べるので、ぜひ最後までお読みください。
結論から言うと、APDの方は電話をなるべくしない環境に身をおくことが重要です。
一定の方は電話対応が苦手?
電話対応で感じるストレスとは?
電話に出るだけでストレスに感じる人もいます。
特にZ世代(1996〜2012年生まれ)は、電話というよりチャット文化が主流のため、会社での電話に抵抗がある方も非常に多いです。
電話では、相手の顔が見えないため、感情が読み取りにくく、話が伝わりづらいです。また、最近では「電話恐怖症」などといった言葉が出てくるぐらい話題にもなりました。
3つのサイン!それってただの苦手ではないかも
一概に電話が苦手と言ってもさまざま。
相手が専門用語を使うので理解できない
上司への引き継ぎでいつも指摘される
周囲が気になって緊張してしまう
etc…
他にも苦手とされることは出てきますが、以下の3つのどれかに当てはまる方は、ただの「苦手」ではないかもしれません。
- 情報が頭に入ってこない:何を言われたか、一瞬で忘れてしまう。
- メモが取れない:話を聞きながら、同時にメモを取るのが難しい。
- 周りの音が気になる:他の音が気になって、電話に集中できない。
これらのことで悩んでいる方。
もしかすると「APD」という障害を持っている可能性があります。
「耳が正常に聞こえているのに、脳がうまく処理できていない状態」がこのAPDの特徴なのです。
APD(聴覚情報処理障害)の世界
一般的に耳の障がいと言うと「難聴」が挙げられますが、APDは難聴とは異なる性質があります。
APDとは?基本知識を押さえよう!
APDとは「Auditory Processing Disorder」の略。
日本語では「聴覚情報処理障害」と呼ばれています。
音は正常に聞くことができるのに、その音を脳がうまく処理できない状態を指します。
会社にて、電話の相手が
「株式会社ジョブワークの田中と申します。先日ご提案いただいた設計の件についてお聞きしたいのですが、佐藤さんはいらっしゃいますか」
と聞いてきたとき、重要な内容である
社名:株式会社ジョブワーク
名前:田中さん
内容:先日ご提案いただいた設計の件
のワードが記憶からすり抜ける感覚になります。
この場合、一緒に働いている「佐藤さん」のワードだけ聞き取れるパターンが多いです。
日本でのAPDの現状
日本では、APDの認知度は圧倒的に低いです。
でも実は1%以上の人がAPDであると言われています。
あなたの知り合いが100人いるなら、1人はAPDの可能性があるということです。もしかしたら、あなたの友達や知り合いも、APDを抱えているかもしれません。
APDの方が感じる電話対応の苦手なポイント
APDの方に難易度が高いのが、この電話対応。
表情やジェスチャーからの情報が得られないのが非常にキツいです。
また、以下の状況により、電話はAPDにとって難易度が格段にアップします。
- 相手の会話が速い
- 音の途切れが生じる
- 電話先の背景音がうるさい
- 電話先が知らない人である不安など
日本の電話文化、なんとかして・・・
あなたもAPDかも?自分でチェックしてみよう!
APDのセルフチェック方法とは?
最終的な診断は専門的な聴力検査が必要ですが、APDかどうかの判断基準はいくつかあります。
例えば、以下に当てはまる場合です。
- 雑音がある場所で聞き取れない
- 音楽の歌詞が頭に入ってこない
- 似たような単語の区別が難しい
- 同じことを何度も聞き返してしまう
- 音の発生源がわからない時がある
もちろん、これらの特徴があるからといって、必ずしもAPDであるとは限りません。ただ、もし心当たりがある場合、一度専門家に相談してみましょう。
APDの診断を受けるまで
もしセルフチェックで「あれ?これって自分に当てはまるかも」と感じたら、まずは耳そのものに問題がないかを確認するのが先決です。お近くの耳鼻咽喉科にて、基本的な聴力診断を受けましょう。
聴覚に問題がなければ、医師に現状報告。
APDに関連していないか相談してみるのが良いでしょう。
ただ、日本でAPDの診断を受けられる病院は少なく、耳鼻咽喉科の医師でもAPDを知らない方がいらっしゃるのが現状です。
もし納得のいく回答が得られない場合は、こちらの病院情報にて検査を試みることをおすすめします。
※診断予約が殺到し埋まっている場合もあります。予めご了承ください。
APDの診断では、精密聴力検査が行われます。例えば、背景音がある中での理解度、数種類同時に単語を聞き取る理解度などを測ります。これらのテストを通して、総合的にAPDであるかを判断します。
筆者が受けたAPD診断
▼具体的な流れはこちらから▼
APDへのサポート
診断後にするべきこと
もしAPDであると診断されたら、まずはその事実を受け入れましょう。
そして、周りの人にも理解してもらうことが大切です。APDの方は見た目で気付かれないことが多いため、自らの行動が必須と言えます。
- 会社に診断書を提出して、外部からの電話対応を無くしてもらう
- 友達にカミングアウトして、なるべく静かな飲食店を選ぶ
- 家族に打ち明けて、APDについて知ってもらう
でも、打ち明けるのって勇気いるんだよね・・・
その気持ち、非常にわかります。
ただ、ひとりで抱え込むのが一番辛いと思います。
「APDなび。」では、APDの当事者や疑いがある人が集まるコミュニティ「APDオンライン」を運営しています。出入りは自由ですので、不安がある方はぜひご活用ください。
APDの方は適切なサポートがあれば、不安を一気に減らすことができるので、コミュニケーションがとても楽になりますよ。
怖いかもしれませんが、少しずつアクションを起こしていきましょう。
APDの方のためのコミュニケーションツール
APDの方には、コミュニケーションをサポートするツールもあります。
例えば、スマートフォンアプリで文字に変換してくれるツールや、音声を調整してくれるヘッドセットなど。これらのツールを利用することで、電話会議や対面での会話も少し楽になるかもしれません。
電話以外のコミュニケーション方法
電話が苦手な方には、メールやチャットなど、文字ベースのコミュニケーションがおすすめです。また、ビデオ通話なら、顔や表情も見えるので、電話よりも情報が豊かです。ビデオ通話では、字幕を表示する機能を利用するのも一つの方法です。
APDの方が心地よく働くための環境
APDの方が働きやすい環境とは?
APDの方が快適に働くためには、静かで集中できる作業スペースが理想的です。
オフィスであれば、個室や静かなフリースペースで作業できるのが理想と言えます。リモートワークの場合、ノイズキャンセリング機能のあるイヤホンを使用すると良いでしょう。
コミュニケーションツールの活用
コミュニケーションツールもAPDの方の働きやすさに大きく寄与します。
例えば、「Slack」や「ChatWork」などのチャットツールを活用し、電話や会話を減らす工夫をしてくことがおすすめです。
また、情報共有の際は、口頭だけでなく、文書でも情報を残すことで、確認しやすい環境を作ることができます。
内線などで電話のみを利用している会社にはぜひツールを提案してみることをおすすめします。
APDの方をサポートする職場の取り組み
APDの方をサポートするためには、職場全体での理解と協力が必要です。
例えば、スタッフミーティングでAPDについての基本的な知識を共有したり、APDの方が働きやすい環境を作るための工夫をチームで考える時間を設けると良いでしょう。
理解とサポートのある職場は、APDの方だけでなく、全ての社員さんにとって良い影響をもたらします。
まとめ:電話対応の苦手さからAPDの可能性を知り、理解を深めよう!
電話対応の苦手さは、単なる個性や特徴と捉えがちですが、実はAPDという障害の可能性も考えられます。声のトーンや言葉のニュアンスを把握するのが難しいAPDの方は、電話対応に強いストレスを感じているはずです。
APDの方は「音は聞こえるけど、情報をうまく処理できない」という特徴を持っています。この特徴ををあなた自身が理解して、無理なくコミュニケーションを取れる方法を探っていくことが大切です。
APDの方でも、適切なサポートと理解があれば、快適にコミュニケーションを取ることができます。これからは、多様なコミュニケーションスタイルを理解し、それぞれの個性や特徴を尊重したコミュニケーションを心がけましょう。
Q&A:電話対応の苦手さとAPDについてよくある質問
ここからはAPDに関するよくある質問をまとめます。
APDの電話対応に関するQ&A
- Q1: 診断は出ていないのですが、会社にAPDの話をした方が良いですか?
A1: あまりおすすめはできませんが、融通が効きやすい企業であれば相談しても良いでしょう。本サイトではAPDの診断が出てから相談してみることをおすすめしています。
- Q2: 会社に診断書を提出しましたが、理解や配慮をしてもらえませんでした。どうすれば良いでしょうか?
A2: ここはきっぱり言わせていただきます。会社を辞めるべきです。APDの方は精神的に落ち込みやすい傾向にあるため、うつ病や精神疾患へのリスクも伴います。長く健康で居られるためにも、すぐにでも転職や次のワークスタイルを確立させることに注力しましょう。
APDおすすめの転職サイト
▼ まずはカウンセリングから ▼
- Q3: APDでも電話対応に強くなる方法はありますか?
A3: APDの方は知らない単語があると短期記憶ができない傾向にあります。そのため、会社のことを良く知る・勉強することで電話対応に強くなることもあります。あとは周りの方に配慮いただいたり社内の方に協力いただくことが重要になってきます。
APDに関するQ&A
- Q1: APDの診断はどこで受けることができますか?
A1: 本サイトではこちらで診断できる病院情報をまとめております。ただし診断はほとんどの場合で予約が必要です。紹介状がないと受け付けていない病院もございますので、まずはお近くの耳鼻咽喉科にて通常の聴力検査から行うのが一般的です。
- Q2: APDの方でも普通の生活を送ることは可能ですか?
A2: はい、もちろんです。APDの方でも、適切なサポートと理解があれば、快適に生活やコミュニケーションをとることができます。まずは信頼できる周囲の人に相談するのが良いでしょう。
- Q3: APDの方はどのような職業が向いていますか?
A3: APDの方に多くみられる強みも存在します。例えば、「聴覚情報に弱い反面、視覚情報が鍛えられていること」や「創造性豊か」な方が多いです。ビジュアルコンテンツの作成や洞察力の必要なライティングなどが向いていると言えます。環境としては電話対応が少なく、チャットや書面でのコミュニケーションが主な職業を選択肢に入れると良いでしょう。
APDのサポートに関するQ&A
- Q1: サポートしてもらうために、何を心がけるべきですか?
A1: サポートをしてもらうのが当たり前になってはいけません。相手に上手く理解してもらうことも大切です。例えば、上司に伝える際「私はAPDを持っており、電話対応が非常に難しいです。その分、社内の方とはAPDを伝えることをきっかけに積極的にコミュニケーションをとって、会社全体で会話をしやすい環境を作ります!」など、メリットも添えると理解してもらえやすいでしょう。
- Q2: 他の人にどのようなサポートが必要かを伝えるのが良いでしょうか?
A2: まずは聞き直してもOKな環境づくりから始めましょう。また、チャットツールなどのコミュニケーションスタイルやAPDに配慮したツールへの理解をしてもらうのもおすすめです。さらに、あなたの特性を理解してもらい、工夫する余地があるか一緒に考えるのも良いでしょう。
- Q3: 子供がAPDかもしれません。学校とどのようにコミュニケーションを取ると良いですか?
A3: 学校とのコミュニケーションでは、子供の特徴やニーズを正確に伝え、協力をお願いすることが大切です。サポート内容や配慮を具体的に伝えると、スムーズなコミュニケーションが期待できます。全く理解されない場合、お子さんの状況をみて「転校」や「学校を休むこと」も視野に入れてあげるのが適切でしょう。